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空き家問題
空家等対策の推進に関する特別措置法の概要
適切な管理が行われていない空家等が増加し、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、それらの対策を促進するため、平成27年5月26日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年11月27日公布)が施行されました。
その概要については、国上交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策の基本指針を定め、市町村は、基本指針に即して空家等対策計画を定めるものとされ、この計画に関する協議を行うための協議会を組織する(※1)ことができるとされています。
また、市町村は、空き家等及び空き家等の跡地に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとし、空き家等の所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空き家等の適切な管理に努めるものとされており、さらには、市町村長は、著しく保安上危険となるおそれがあるなど、放置することが不適切な状態にある空家等(以下「特定空家等」という。)の所有者等に対し、除却、修繕等の措置をとるよう助言または指導、勧告、命令ができるとされました。さらに、所有者等が命令を履行しないときまたは命ずべき所有者等が不明のときは行政代執行ができることとなっています。
なお、衆議院の国土交通委員会の付帯決議において、「政府は、本法の施行に当たり、隣地所有者との土地の境界紛争を未然に防止するとともに跡地の利活用の推進を図る観点から、空家を取り壊し更地にする際には事前に空家が所在する土地の境界を明確にする手続を設けることについて、必要な検討を行うこと。」とされています。
※1 協議会は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)のほか、地域住民、市町村の議会の議員、法務、不動産、建築、福祉、文化等に関する学識経験者その他の市町村長が必要と認める者をもって構成するとされており、土地家屋調査士もその構成員として委嘱されて活躍しています。
愛媛県土地家屋調査士会の取り組み
当初、当会においてこの問題に取り組むにあたり、土地家屋調査士は、不動産の表示に関する専門家であり、空き家を取り壊したあとの「建物滅失登記」の申請代理人としての職務が考えられるとしながらも、その他直接に関わるものは少ないのではとの意見がありました。
そこで、土地家屋調査士会としてどのような取り組みをする必要があるのか、社会事業部を中心に空家問題についての対応を検討することとし、平成27年7月の社会事業部会において空家等の情報を収集し、加えて9月16日には、愛媛県建築住宅課から住宅企画係長稲葉忠氏(当時)を講師として招聘し、空家等特別措置法についての研修会を実施しました。
また、10月8日には、研修の出席者からのアンケート結果を基に、有志による空き家対策についての意見交換会を実施しました。
このような経緯のなか、社会事業部においては、土地家屋調査士が日常業務で直面する空き家対策の課題に即する事例を整理してとりまとめることが、この問題の将来の予防、流通・活用の促進及び跡地の利用などについて一助になると考え、12月に「空家特別措置法等についての対応策について」として発信しました。
この報告においては、空き家になる原因として、「接道」「相続未登記」「所有者不在または不明」「所有者の高齢化」「筆界未定」などをあげています。
また、土地家屋調査士会における解決についての提言として、土地の取引や利活用をするにあたり、境界が未確定または紛争がある場合には不動産が特定できないこととなり、その妨げになることから、境界標の設置とその維持管理の重要性を啓発していくことが重要であるとしています。
案外見過ごされがちな事として、隣接する土地の所有者の不在や相続未登記の問題が、自己所有地の境界の確定に影響を及ぼすことがあることについても意識しておく必要があるとされています。隣接の土地所有者が高齢である場合などは、認知症になった又は施設に入ったりして連絡先が不明であるなどの事例があります。※この記事は平成27年に書かれたものです。松山市の空き家について対策を推進する協定の締結
令和2年7月10日、松山市の空き家対策推進に向けた連携と協働に関する協定締結式が行われ、当会を含む松山市特定空家等協議会の9団体が松山市と協定を締結しました。
1.協定の名称
松山市の空き家対策推進に向けた連携と協働に関する協定
2.協定締結団体
○ 愛媛県行政書士会
○ 公益社団法人 愛媛県建築士会
○ 愛媛県司法書士会
○ 公益社団法人 愛媛県不動産鑑定士協会
○ 特定非営利活動法人 愛媛県不動産コンサルティング協会
○ 公益社団法人 全日本不動産協会愛媛県本部
○ 公益社団法人 松山市シルバー人材センター
○ 一般社団法人 松山宅建協会
○ 愛媛県土地家屋調査士会3.連携と協働事項
○ 空き家の発生を抑制するための啓発、相談等に関する事項
○ 空き家の適切な管理に向けた啓発、体制づくり等に関する事項
○ 空き家の利活用の促進に関する事項
○ 管理不全な空き家への対策に関する事項 など4.今後の活動
空き家の所有者からの相談に応じるほか、幅広い分野の相談に対応するため不動産関係団体の空き家相談窓口や各士業団体などと連携し、空き家の有効活用に向けて官民で協働します。
四国中央市空き家・空き地対策連携協力基本協定の締結
令和4年2月17日、四国中央市空き家・空き地対策連携協力基本協定締結式が行われ、当会を含む5団体が四国中央市と協定を締結しました。
1.協定の名称
四国中央市空き家・空き地対策連携協力基本協定
2.協定締結団体
○ 四国中央市
○ 四国中央宅建協会
○ 愛媛県建築士会四国中央支部
○ 愛媛県行政書士会四国中央支部
○ 愛媛県土地家屋調査士会四国中央支部
○ 愛媛県司法書士会四国中央支部3.連携協力する事項
(1)四国中央市空家等対策計画に基づく事項
(2)前号のほか空き家及び空き地に関する事項4.今後の活動
令和3年春の民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)を踏まえ、官民連携を強固にしていく必要があるとの考えのもと、連携協力する組織の核として「四国中央市空き家・空き地対策連携推進会議」を設置し、空き家・空き地の発生・抑制に取り組んでいきます。
愛媛新聞インタビュー取材
愛媛新聞社より、当会会長池川がインタビュー取材を受けました。
その記事が愛媛新聞に掲載されましたので、ご紹介します。
掲載日:令和5年7月23日
取材内容:土地家屋調査士の業務、所有者不明土地問題、社会貢献活動、今後の展望など